【なぜ?】フライトレーダーを見てはいけないと言われる真相を解説
「フライトレーダーを見てはいけない」
インターネット上で、時々こんな言葉を目にすることがあります。
世界中の空をリアルタイムで飛び交う飛行機を眺められるフライトレーダーは、飛行機好きや旅行好きにとって、とても魅力的なツールです。
頭の上を飛んでいるあの飛行機はどこへ行くのだろう、と地図上で追いかけるだけで、あっという間に時間が過ぎてしまいます。
しかし、その一方でなぜ「見てはいけない」などと言われるのでしょうか。
そこには、このツールの利便性の裏に隠された、いくつかの注意点やリスクが存在するからです。
この記事では、フライトレーダーの仕組みといった基本的な情報から、なぜ「見てはいけない」と言われるのか、その具体的な理由、そして気になる法律上の問題まで、詳しく解説していきます。
フライトレーダーの危険性を正しく理解し、安全に楽しむためのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもフライトレーダーとは?仕組みと使い方

飛行機の今がわかる「フライトレーダー」の仕組み
フライトレーダーは、世界中の空を飛んでいる飛行機の現在位置や情報を、地図上にリアルタイムで表示してくれるサービスです。
この便利な仕組みの中心となっているのが、「ADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)」と呼ばれる技術になります。
これは、飛行機自身がGPSで測定した自らの位置、高度、速度、便名といった情報を、電波として常に発信し続けるシステムです。
その電波を、世界中に設置されたADS-B受信機がキャッチします。
そして、受信されたデータがインターネットを通じてサーバーに集められ、私たちが普段見ているようなウェブサイトやアプリの地図上に、飛行機のアイコンとして表示されるわけです。
驚くことに、多くの受信機は企業ではなく、世界中の航空ファンなどのボランティアによって設置・運営されています。
つまり、多くの人々の協力によって、この画期的なシステムは成り立っているのです。
無料で使える?代表的なサイト・アプリ「Flightradar24」
フライトレーダーを利用してみたいと思ったとき、最も有名で代表的なのが「Flightradar24(フライトレーダー24)」というサービスです。
このサービスは、パソコンのブラウザからはもちろん、スマートフォンやタブレット用のアプリも提供されており、誰でも手軽に使い始めることができます。
基本的な機能は、無料で利用することが可能です。
地図上を動く飛行機をタップすれば、便名や機種、出発地と目的地などの情報を簡単に見られます。
ただ、無料版の場合は、長時間利用していると機能に制限がかかったり、広告が表示されたりすることがあります。
一方で、月額料金などを支払う有料プランに登録すると、広告が非表示になるほか、より詳細な航空機データや過去のフライト履歴の閲覧、天候情報の表示など、さらに多くの機能が使えるようになります。
まずは無料版で試してみて、もっと深く楽しみたいと感じたら有料プランを検討してみるのが良いでしょう。
旅行や趣味に役立つ!フライトレーダーの便利な活用法
フライトレーダーは、ただ飛行機を眺めて楽しむだけのツールではありません。
私たちの生活や趣味において、非常に役立つ便利な使い方がたくさんあります。
例えば旅行の場面では、これから搭乗する飛行機の現在地を確認して、遅延がないか事前に把握することができます。
また、家族や友人が乗っている飛行機を追跡すれば、無事にフライトが進んでいるかを見守ることができ、空港への出迎えのタイミングを計るのにも便利です。
趣味の面で言えば、空港の展望デッキで飛行機を撮影する際に、次にどんな機種がどのくらいの時間で到着するのかを正確に知ることができます。
他にも、自宅の真上を通過した飛行機が、どこから来てどこへ向かうのかを調べたり、普段見かけない珍しい航空機や特別な飛行ルートを探したりするのも、面白い活用法の一つです。
このように、フライトレーダーは様々な場面で私たちの好奇心を満たし、生活を豊かにしてくれます。
フライトレーダーを「見てはいけない」と言われる3つの理由

理由①:プライバシー侵害や悪用のリスク
フライトレーダーが「見てはいけない」と言われる最も大きな理由の一つが、プライバシー侵害や悪用のリスクです。
このサービスは、不特定多数の民間航空機の情報を表示しますが、その中には個人が所有するプライベートジェットなども含まれる場合があります。
そのため、特定の企業の役員や著名人、政治家などの移動スケジュールが、意図せず第三者に知られてしまう可能性があるのです。
もちろん、多くの場合は誰が乗っているかまで特定することは困難です。
しかし、他の情報と組み合わせることで、個人の動向が推測されてしまう危険性はゼロではありません。
もし、そのような情報が悪意のある人物の手に渡れば、ストーキングなどの犯罪行為に利用される恐れも考えられます。
このようなリスクがあるからこそ、フライトレーダーで得た情報を興味本位で拡散する行為は、慎重になるべきだと言えるでしょう。
理由②:軍用機・政府専用機など表示されない飛行機の存在
フライトレーダーの画面を見ていると、まるで世界中のすべての飛行機が表示されているかのような錯覚に陥ることがあります。
しかし、実際には表示されていない飛行機も多数存在します。
これが、「見てはいけない」と言われる二つ目の理由です。
具体的には、国の安全保障に関わる軍用機や、政府専用機、警察や消防の航空機などは、その活動の性質上、位置情報を公開していません。
これらの航空機は、意図的にADS-B信号を発信しないように設定されていたり、フライトレーダーの運営側が受信した信号をフィルタリングして、意図的に表示から除外したりしています。
この事実を知らないまま画面だけを見ていると、「この空域には飛行機がいないから安全だ」といった誤った認識を持ってしまう可能性があります。
画面に映っているものが空の全てではない、ということを理解しておくことは、フライトレーダーを正しく利用する上で非常に重要です。
理由③:情報の遅延や誤差による誤解の可能性
フライトレーダーは「リアルタイム」を謳っていますが、実際にはわずかな情報の遅延や誤差が存在します。
これが、誤解を生む可能性があるとして「見てはいけない」と言われる三つ目の理由です。
飛行機から発信された信号が受信機に届き、サーバーを経由して私たちの画面に表示されるまでには、どうしても数秒から、場合によっては数十秒のタイムラグが発生します。
また、表示される高度や速度といったデータも、必ずしも100%正確とは限りません。
普段、趣味として眺めている分には特に問題にならないレベルの誤差です。
しかし、万が一航空機に何らかのトラブルが発生した場合、このわずかな遅延や誤差が、不正確な憶測やデマが広まる原因になりかねません。
「機体が急降下している」「異常な動きをしている」といった情報が、遅延したデータをもとにSNSなどで拡散され、人々に不要な不安を与えてしまうケースも考えられます。
情報はあくまで参考程度と捉える冷静さが必要です。
フライトレーダーの利用は違法?気になる疑問を解決

- フライトレーダーの仕組み自体は合法?
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フライトレーダーの利用について、そもそも法的に問題はないのか気になる方もいるでしょう。
結論から言うと、フライトレーダーの仕組み自体は、ほとんどの国で合法とされています。
その理由は、フライトレーダーが利用しているADS-B信号が、誰でも受信できるように公開された電波だからです。
これは、私たちがラジオの放送を誰でも受信できるのと同じ理屈です。
暗号化されているわけでもなく、オープンに発信されている情報を個人が受信し、それを閲覧する行為自体を取り締まる法律は、現在の日本にはありません。
世界中のボランティアが受信機を設置してサービスに協力していることからも、その合法性がうかがえます。
もちろん、国や地域によっては特殊な規制が存在する可能性はありますが、日本国内で個人が趣味の範囲でフライトレーダーのサイトやアプリを閲覧する限りにおいては、違法性を問われる心配はまずないと考えてよいでしょう。 - スクショやSNS投稿で違法になるケースは?
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フライトレーダーの画面をスクリーンショットし、SNSに投稿する行為は、それ自体が直ちに違法となるわけではありません。
例えば、「珍しい塗装の飛行機が飛んでいる」といった内容を、多くの人と共有するために投稿することは、一般的には問題になりにくいでしょう。
しかし、その投稿の内容や目的によっては、話が変わってきます。
注意すべきなのは、特定の個人に関する情報を結びつけて投稿するケースです。
「有名人の〇〇さんが乗ったプライベートジェットが、今△△に向かっている」といったように、個人のプライバシーを侵害するような内容を発信した場合、名誉毀損やプライバシー権の侵害として、法的な責任を問われる可能性があります。
スクリーンショットの画像そのものに問題がなくても、添えられたコメントによって違法性が生じる場合があるのです。
フライトレーダーの情報をSNSで共有する際には、他者の権利を侵害しないよう、細心の注意を払う必要があります。 - 緊急事態(スコーク7700)の情報は本物?
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フライトレーダーを見ていると、ごく稀に「スコーク7700」という表示とともに、飛行機のアイコンが赤く変化することがあります。
この「スコーク」とは、航空機が地上レーダーに対して自らを識別させるために発信するコードのことです。
そして「7700」は、ハイジャックや急病人、機材の故障など、何らかの緊急事態が発生したことを示す国際的なコードになります。
そのため、フライトレーダー上でこの表示が出た場合、その航空機が実際に緊急事態を宣言している可能性は非常に高いと言えます。
ただし、これも100%絶対ではありません。
過去には、パイロットが誤ってコードを入力してしまったり、機器の不具合で一時的に誤った信号が発信されたりした例も報告されています。
したがって、この表示を見つけたとしても、すぐにパニックになったり、不確定な情報をSNSで拡散したりするのは避けるべきです。
まずは冷静に、航空会社や報道機関からの公式な情報を待つ姿勢が重要です。
危険性を理解して安全に楽しむためのポイント

特定の個人が乗る飛行機の情報を拡散しない
フライトレーダーを安全に楽しむために、最も守るべき大切なポイントは、特定の個人が搭乗している飛行機の情報を拡散しないことです。
前述の通り、フライトレーダーの情報からは、時に著名人や要人の移動スケジュールを推測できてしまう場合があります。
たとえ相手が公人であったとしても、その人の詳細な現在地や今後の移動先を、本人の許可なくインターネット上で公開する行為は、プライバシーの侵害にあたる可能性が極めて高いです。
何気ない好奇心からの投稿が、結果的にその人物を危険に晒したり、ストーキングのような行為を助長したりするきっかけになりかねません。
これは、法律的な問題以前に、人としてのマナーや倫理の問題でもあります。
フライトレーダーはあくまで空の交通状況を眺めるためのツールと割り切り、個人の動向を探るような使い方や、それを他者と共有するような行為は、厳に慎むべきでしょう。
SNSなどでの発言や情報の取り扱いに注意する
フライトレーダーから得た情報をSNSなどで発信する際には、その内容や言葉遣いに十分な注意を払う必要があります。
特に、緊急事態を示すスコーク7700が表示されたり、航空機が通常とは異なる動きを見せたりした場合、不安や興奮から憶測に基づいた投稿をしてしまいがちです。
しかし、表示されている情報には遅延や誤差が含まれている可能性を常に忘れてはいけません。
不正確な情報や個人の憶測が、まるで事実であるかのようにSNSで拡散されると、多くの人々に無用な混乱や心配を広げてしまうことになります。
また、事故を決めつけるような発言や、乗員・乗客の安否に関する憶測は、関係者を深く傷つけることにも繋がります。
フライトレーダーの情報を共有する場合は、あくまで客観的な事実のみに留め、個人的な憶測や断定的な表現は避けるように心がけることが、トラブルを防ぐ上で非常に重要です。
表示される情報は「参考程度」と心得る
フライトレーダーを安全に楽しむための心構えとして、表示される情報は「絶対的な事実ではなく、あくまで参考程度である」と常に認識しておくことが大切です。
この記事で解説してきたように、フライトレーダーの情報には、いくつかの限界があります。
まず、軍用機など表示されない航空機が存在するため、画面に映るものが空の全てではありません。
また、データには通信状況などによる遅延や、わずかな誤差が含まれる可能性があります。
さらに、緊急事態を示す信号も、ごく稀に誤って発信されることがあるのです。
これらの特性を理解せずに、表示された情報を100%鵜呑みにしてしまうと、物事を誤って解釈したり、不正確な情報を信じ込んだりする原因となります。
フライトレーダーは非常に優れたツールですが、万能ではありません。
その限界を理解した上で、一つのエンターテイメントとして、あるいは便利な目安として活用する姿勢が、賢明な楽しみ方と言えるでしょう。
それでも魅力満載!フライトレーダーの面白い使い方

自分が乗る飛行機を家族や友人に共有する
フライトレーダーの危険性を理解した上で、ポジティブな活用法に目を向けてみましょう。
非常に便利で心強い使い方が、自分が搭乗するフライトの情報を家族や友人に共有することです。
旅行や出張で飛行機に乗る前に、自分が乗る便名や、その便を追跡できるフライトレーダーのリンクを事前に送っておきます。
そうすれば、地上にいる家族や友人は、あなたが乗った飛行機が今どこを飛んでいるのか、順調に目的地へ向かっているのかをリアルタイムで確認することができます。
特に国際線のような長時間のフライトでは、上空にいる間は連絡が取れなくなるため、待っている側は不安に感じることもあるでしょう。
しかし、フライトレーダーで飛行機の位置がわかるだけで、大きな安心感に繋がります。
また、到着時刻に合わせて空港へ迎えに来てもらう際にも、正確な時間がわかるので非常に便利です。
珍しい飛行機や特別なルートを見つける
フライトレーダーの醍醐味の一つが、世界中を飛び交う多種多様な飛行機の中から、珍しい機体や特別なルートを発見する楽しみです。
毎日地図を眺めていると、時々、普段とは違う動きをする飛行機に出会うことがあります。
例えば、政府専用機や、海外の要人が乗る特別機、あるいはカラフルな特別塗装が施された旅客機などを見つけることができるかもしれません。
また、航空機のアイコンをタップして機種名を見てみると、現在では数少なくなった古いクラシックな旅客機が飛んでいることもあります。
ルートに注目してみるのも面白いです。
悪天候を避けるために大きく迂回していたり、目的地の空港が混雑しているために上空で何度も旋回待機していたりする様子も手に取るようにわかります。
なぜこのような動きをしているのだろう、と背景を想像するのも、フライトレーダーならではの知的な楽しみ方と言えるでしょう。
世界で今起きていることを空から知る
フライトレーダーは、単に飛行機の位置を知るだけのツールではありません。
見方を変えれば、世界で今まさに起きている出来事を、空の視点から垣間見ることができる窓のような存在にもなります。
例えば、大きな国際スポーツ大会やサミットが開催される都市には、世界中から多くの臨時便やチャーター機、政府専用機などが集まってくる様子が見られます。
また、大規模な自然災害が発生した地域では、救援物資を運ぶ輸送機や、被災状況を調査する航空機の活動が活発になることもあります。
逆に、国際情勢の緊迫化によって、特定の国の上空が飛行禁止区域に設定され、航空機がそのエリアを大きく迂回して飛ぶ様子が映し出されることもあります。
このように、世界中の航空機の流れを定点観測することで、ニュースで報じられている出来事が、実際にどのように空の交通に影響を与えているのかを視覚的に理解できるのです。
まとめ
今回は、「フライトレーダーを見てはいけない」と言われる理由について、その背景や具体的な注意点を詳しく解説しました。
その理由としては、特定の個人の動向がわかってしまうことによるプライバシー侵害のリスク、軍用機など表示されない飛行機の存在、そして情報に含まれる遅延や誤差による誤解の可能性などが挙げられます。
これらの危険性を知らずに利用すると、意図せず誰かを傷つけたり、不正確な情報を広めてしまったりする恐れがあるのは事実です。
しかし、これらの注意点をきちんと理解し、節度ある使い方を心がければ、フライトレーダーはこれ以上なく面白いツールに変わります。
旅行で搭乗する便を家族に共有して安心してもらったり、珍しい飛行機を探して楽しんだり、世界の出来事に思いを馳せたりと、その活用法は無限大です。
表示される情報はあくまで参考と捉え、他者のプライバシーに配慮する。
この基本さえ守れば、フライトレーダーはあなたの知的好奇心を満たしてくれる、最高の暇つぶしツールになるはずです。